交流が生むコラボレーション
山梨のNPO法人「えがおつなげて」は、企業ファームという活動を行っている。
「三菱地所」は、その代表企業。
休日には、三菱地所の社員さんが、バスを貸し切って、山梨に訪れて、「えがおつなげて」が、管理する耕作放棄地を開墾し、開墾した後は、その農地で農業を行っている。
その農地で作った酒米でプライベートブランドの日本酒を造って、東京の丸の内限定で販売したりする活動が活発に行われている。
その交流の中で、代表の曽根原氏が、三菱地所の方に、間伐材の話を持ちかけた。
「山梨の山林には、間伐材がそのまま放置されています、どうにか利用する方法はないでしょうか」
最初、三菱地所の社員の方は、間伐材の事を正確に知らなかったらしい。
「間伐材=庭木の枝払いされた後のか細い枝切れ」程度の認識だったとのこと。
曽根原氏が、山まで案内して、間伐材を見せると、俄然興味を示され、三菱地所の建設するマンションの内装材に利用するプロジェクトが動き出した。
地主(県)の協力。間伐材の運び出し業者。製材業者。そして、最川下の三菱地所。
間伐材を商材として扱う流れを構築して、ポイントの毎の関係者との協力体制が、曽根原氏の仲立ちで構築された。
言うところの、「サプライチェーン」の完成である。
山に打ち捨てられていた間伐材は、貴重な木材資源として流通に乗り、廃業を考えていた、地元の木材業者さんは、このプロジェクトにより、従業員10名程度の企業となり、更に社員を増やす計画という。
そして、三菱地所のマンションの内装材のうち、国産材の利用率は、50%を超えることになり、70%を超える日も近いという。
「コスト管理が徹底しているであろう日本一のマンションデベロッパーの内装材の、70%以上が国産材」
この事実をどう見るか。
耕作放棄地に人が集まり、交流が始まり、事業が立ち上げられて、打ち捨てられていた木材が、宝となり産業が興った。
「耕作放棄地、廃校舎、空き屋、間伐材・・・・私たちは、宝に変わる資源に囲まれているのではないか」
本気でそう思い始めている。
事務局 山本